vol.16
飼い主として知っておいてもらいたいこと

今回は子犬や子猫の飼い主さんにぜひ実行してもらいたい社会化プログラムについてお話します。
最近ではこの「社会化の大切さ」は多くの飼い主さんに知られるようになりました。

犬や猫が人間社会の一員となるということ
 子犬や子猫はいわゆる社会化期に自分の仲間を認識し、周囲の環境に馴染んで行きます。そして成長とともに仲間以外のものを受け入れにくくなり、見知らぬものにも警戒心を持つようになります。ですから社会化期に十分な経験をしてないと、成長してからさまざまな問題行動を起こすようになることがあります。
 本来野生の暮らしの中では仲間として認識するのは同種動物だけですし、慣れなければならない周りの自然環境もそれほど多様性に富んだものではありません。
 しかし我々人間のペットとして暮らす犬や猫たちはどうでしょう?人間の家族の一員として犬や猫などのペットが生涯にわたって経験しなければならないことは、あまりにも多様で複雑です。したがってもっともさまざまなものに慣れやすい社会化期には一日一日がとても大切です。
 社会化期を含め、子犬や子猫の時期には次のような事に注意しながら育ててあげてください。
知らない人を怖がらない犬に育てる
 子犬や子猫の教育の中で一番大切なことは、人を怖がらないように育てることです。犬や猫が人間社会で生活していく以上、人との接点なしに生涯を終えることはできません。動物の場合、怖いという気持ちが攻撃性の引き金になる場合が多いので、人を怖がるということは人を攻撃する可能性を秘めているということになります。
 人間にうなったり咬んだりする犬や猫になってしまうと一緒に生活するのは大変ですから、子犬や子猫の間に、人に慣らしておくことはとても大切です。この時期に人と接する機会が少なかったり、特定の人としか接触してないと、将来知らない人を怖がるようになることがあります。
 犬の繁殖場などで生まれた子犬は人との接触が少ないために人に対する警戒心が強くなってしまう場合があります。また、女性としか接触しなかった子犬が男性を怖がるようになったり、子供と接する機会がなかった子犬が子供に攻撃的になる例もあります。
 子犬・子猫の時期にできるだけ多くの人と楽しく接する機会を作ってあげましょう。
同じ仲間とコミュニケーションできるように育てる
 
最近では犬も猫も複数飼いする方が増えたように思います。複数飼いの場合、1頭目よりも2頭目の方が同種動物に対して社交的に育つようです。それは人間の家族だけで囲まれて育つ1頭目に比べて2頭目は同じコミュニケーション手段を持つ同種の動物が傍にいるからだと思います。
 子犬や子猫は親兄弟とのふれあいを通じてその動物種特有の社会的行動の基礎を築きます。ですからあまり早くに親や兄弟と離してしまうと、犬でありながら、他の犬とうまくつき合えない犬、猫でありながら他の猫とコミュニケーションできない猫に育ってしまうのです。
 たとえば人にはとても友好的なのに、他の犬に会うと攻撃的になったり、ひどく怯えてしまう犬もいます。
 犬同士のふれあいが充分できている犬たちは、社交的で、上手にけんかを避ける技術も備えています。
 犬を犬嫌いにしないためには、まず第一に母犬や兄弟犬と生後7〜8週間は一緒に過ごさせること、次に母犬や兄弟犬と離れて新しい家に行った後も、できるだけ他の犬と一緒に遊ぶ時間を作ってあげることです。
 猫はもともと犬ほど社交的ではありませんが、同様のことが言えます。ただ猫を安全に飼うには室内飼いをする必要がありますので、なかなか他の猫と接する機会を与えることができません。知り合いの猫と遊ぶ機会を作ったり、2頭で飼ってあげると良いと思います。成猫になってからでは慣らすのに時間がかかる場合が多いので、できるだけ幼い時期から会わせるようにすることが大切です。
人間社会で遭遇するさまざまな刺激に慣らす
 
子犬や子猫はまわりの環境に対しても柔軟で、この時期に馴染んだものには大人になっても過剰な反応を起こさなくなります。従ってこの時期にいろいろなものに慣らすことでその後に起きるさまざまな環境中の刺激を受け入れやすくする事ができます。
 たとえば自動車、バイク、電車の音や雷の音、花火の音などさまざまな音に対する恐怖症を持つ犬は少なくありません。子犬の様子をよく見ながら、怖がるようなら無理せず、すこしづつ慣らしていきましょう。
 猫では犬のように外出する機会は多くありませんが、なんらかの理由で外出しなければならないことは必ず起こるものです。そのような場合にパニックにならないように、子猫の間から慣らしておいてあげることが大切です。
最後に
 
子犬や子猫の時期の経験は、これから彼らが生きていく上で、出会うさまざまな困難に打ち勝つための、免疫を与えてくれます。これはちょうど伝染病に打ち勝つために接種するワクチンのように、彼らの「こころ」を守ってくれるのです。
 特に怖がりの性格の子犬や子猫の社会化プログラムで大切なことは「楽しい経験」をさせてあげるということです。「嫌な体験」は逆効果となりますので、子犬や子猫の様子を良く観察しながら、注意深く慣らしてあげてください。
 人間の子供と比べ、子犬や子猫の時期は本当にあっという間に過ぎてしまいます。一日一日を大切に、子犬や子猫のために良い経験をさせてあげることを心がけてみてください。