vol.20
ネコのお口の病気 Part1

ネコの口膣内の問題は年々層化する傾向にあり、かわいい愛猫の「お口の病気」に心を痛めている方も少なくないと思います。最近、愛猫家の間で認知の広がっている「ネコの口膣内疾患」について、最新情報を交えて2回に分けて解説したいと思います。

ヒトとの違い
われわれ人間の口膣衛生の概念も、ここ50年くらいの間に大きく変わりました。
殺菌剤入りの洗口液や電動歯ブラシ、キシリトールやアパタイト配合ガムと歯科関連用品には事欠きません。このように、ヒトの口膣の問題は@虫歯、A歯槽炎を含む歯周病に集約されます。
それに対し、イヌやネコには「虫歯」がほとんどなく、イヌでは大量の歯石形成をともなう「歯周病」が口膣の問題の大半を占めています。一方、ネコはイヌほど多くの歯石形成を見ませんが、それでも「歯周病」が最も多い口膣疾患で、次に「FORLと呼ばれる破歯性吸収病変」が、そして、いわゆる「口内炎」が3番目に多い問題として報告されています。
これらネコのお口の3大トラブルについて一緒に考えて行きましょう。
ネコの歯周病
これは、ヒトでもイヌでもそしてネコでも同じですが、露出した歯冠に歯垢が蓄積することから生じます。
歯垢はその量がどんどん増えてくるにつれて、歯周ポケットへと侵入しはじめ、そこにいる細菌の増殖を促し、睡眠中のミネラルを蓄積して歯石を形成します。
この状態が長期間放置されると、細菌をやっつけようと集まってきた白血球の残骸から不都合な酸素や炎症伝達物質が漏れ出し、結合組織や骨の組織が解けてきて、ポケットの拡大や歯茎の退縮が始まってしまうのです。そして、徐々に歯がぐらつきはじめ、やがて抜け落ちてしまうという結果になるのです。
  *予防
「予防は簡単、歯に歯垢をためない事」と、言うは易し、するは難し。ヒトでこそ毎食後の歯磨きや洗口液によって、何とか予防は可能といえますが、イヌでも相当な努力が、ネコにいたっては、決死の覚悟があっても???というのが現実でしょう。ネコは歯磨きを許してくれるような習性は持ち合わせていないですから。それならどうすればいいでしょうか。
獣医口膣衛生協会に認可されているようなデンタルダイエットを日常の食餌として与えるというのが、最も実用的といえます。
これらのフードでは歯磨きほどの効果は得られないかもしれませんが、確実に歯石形成を抑制することが確かめられています。
FORL ネコの破歯性吸収病変
このFORLというのは、少し虫歯と似ているのですが、歯の付け根の歯茎と接触している部分に吸収病変ができる、つまり、歯が虫食いのように解けてくるという病気なのです。
ヒトの虫歯が細菌の作る酸によってエナメル質が腐食するのに対して、このFORLというのは、炎症を誘発するような伝達物質によって歯を壊す破菌細胞が引き寄せられ、ネコ自身の細胞が歯を溶かしてしまうのです。虫歯と同じように激烈な痛みがあり、ものを噛むということに大きな苦痛をともなうようになります。
しかし、解っていることはそこまでで、
なぜそんなことが起こるのか?
他の動物にはなぜ起こらないのか?
年々増加傾向にあるのはなぜか?
どうしたら予防できるのか?
など、解らないことだらけというのが現実なのです。
以前といってもつい最近まで、歯周病によって炎症を誘発するような伝達物質ができてくると考えられていましたが、現在では研究が進むにつれて、歯周病もFORLも高齢になるほど増加し、そして悪化するのですが、それぞれが互いの悪化要因にはなるものの、歯周病がFORLの原因ではないことが分かってきています。