vol.21
ネコのお口の病気 Part2

前回に続き、ネコの口膣内の問題、かわいい愛猫の「ネコの口膣内疾患」について、最新情報を交えて解説したいと思います。

口内炎
ヒトでもイヌでも口膣内の炎症の大半は、歯周病にともなって見られ、ほぼ歯肉に限定されています。
ところが、ネコだけは残念なことに特別なのです。ほっぺの内側、奥歯の後ろ、舌など、お口の中で炎症の起きない場所はありません。そして歯肉以外の口膣内炎症はとても重症なのです。
ネコの口内炎は多くの複雑な原因がからみあってひとつの臨床的な症候群を形成し、しかも、期待した治療成果の上がらない、ネコ自身にとっても、飼い主にとっても、そして獣医師にとってもいらだたしい病態であるといえます。

口膣内の炎症を引き起こし、増悪させる因子には以下のようなものがあります。
 
@ 歯周病
A FORL
B FeLV(猫白血病ウイルス感染症)およびFIV(猫エイズ)
C 主要臓器の疾患
D 免疫系の機能障害
どうすれば?
  *ホームケア
特別な理由がなければ、デンタルダイエットを日常の食事として与え、歯周病の予防に心がけるようにしましょう。
すでにネコに口臭がある場合は、お口の中をよく観察してみましょう。
「歯石の付着がある」「歯茎のふちが赤い」というような場合には、歯周病が疑われます。もし、「歯茎以外にも赤くなっている」「奥の方に盛り上がりがある」「ドライフードを噛むときに痛がる」というような症状があれば、口内炎が慢性に進行している可能性があります。
いずれにしても、動物病院での処置が必要と考えてください。

*動物病院での治療
現在、有効な治療と考えられているものには以下のようなものがあります。
1 ステロイド剤
強力な消炎作用で炎症や痛みを和らげる。初期には特効的に奏功するが、徐々に効果が減弱し、より多量の投薬が必要になってくる。糖尿病の誘発、肝障害などの副作用も問題となる。
2 NSAIDs=非ステロイド性抗炎症剤
鎮痛作用とステロイド剤ほどではないが抗炎症作用が期待できる。ただし、消化管潰瘍などの副作用に注意。
3 ラクトフェリン
緩やかな消炎作用を有し、免疫系を調節する作用も期待できます。
4 レーザー蒸散
激しい炎症によって形成される増生物(カリフラワー状の盛り上がり)を蒸散させる。蒸散後の組織修復によって粘膜面の正常化が期待できます。
5 抜菌
炎症の部位や激しさによって、全臼歯抜歯や全顎抜歯などの方法がとられます。FORLや重度歯周病の増悪因子の唯一と言っても良いコントロール方法です。
まとめ
ネコの口膣内の問題は、まだまだ治療的な決定打を欠く、非常にいらだたしい問題です。
単純な歯周病の場合には、治療法や予防法も確立され十分なケアが可能ですが、ひとたび口膣内に炎症が拡がれば、一筋縄では行きません。軽症のうちから口膣内のコンディションに注意を払い、悪化を少しでも食い止め、重症になれば思い切って抜歯に踏み切る必要があります。
幸いにして、ネコは歯がなくても非常によく適応し、複数の歯を抜歯することによって不幸なネコがはるかに快適に生活できるようになるのです。さらに優れた治療法が開発され、歯を温存した上で良好な結果が得られるようになるその日まで、日々コツコツと地道な口膣内治療を続けていくしかありません。