vol.27
長く犬や猫たちとくらすために 猫の腎不全 T

腎臓をはじめとする泌尿器系の役割はオシッコをつくり、老廃物など体内で不必要となったものを体の外へ出すことです。この腎臓も、加齢とともに機能が徐々に衰えてきますが、特に猫は他の動物と比較して、タンパク質の要求量が高く、水分摂取量が極めて少ないため、とても濃いオシッコをする動物なのです。そのため、腎臓などの泌尿器系への負担が大きく、これらの臓器・器官の病気をひき起こしやすいという特徴をもっています。

腎不全ってどんな病気?
 泌尿器系の様々な病気のうち、腎臓の機能を十分に果たせなくなった状態を腎不全と呼びます。
 腎臓は「ネフロン」と呼ばれる機能ユニットが数千個集まって構成された臓器ですが、このネフロンは一度壊れてしまうと二度と元には戻りません。しかし、ネフロンの数には十分な余裕があるため、全ネフロンの75%を失うまでは、正常な腎機能を果たせるといわれています。このネフロンが通常より早い速度で破壊してゆく病気が「慢性腎不全」です。したがって、「慢性腎不全」の猫も全ネフロンの75%が失われていく数年間はほとんど無症状で、血液検査上も何ら異常が現れることはありません。
 しかし、それ以上のネフロンが失われると、腎臓の機能に不足が生じ、排泄しなければならない老廃物が体内に残り始めます。この状況に至ってはじめて血液検査で、「BUN」や「クレアチニン」と呼ばれる尿素を含む化合物の数値が上がり始め、そして、嘔吐や体重減少など私たちにもわかる症状が出てくるのです。
多飲多尿はSOSのサイン
 ネフロンの破壊が75%に近づいてくると、水をたくさん飲み、たくさんオシッコをするという「多飲多尿」という症状が現れます。この症状は、衰えた腎臓の機能を「水を余分に飲む」ことで補おうとする症状で、「BUN」や「クレアチニン」の上昇に先立って現れます。
 この症状のおかげで「BUN」や「クレアチニン」が正常に維持されるとも言えますが、反面、残存したネフロンに通常よりも大きな負荷がかかり、ネフロンの崩壊を早めているということも覚えておかねばなりません。
この時期にこそホームケアが必要
 「多飲多尿」以外には何の症状もなく、見た目には健康なときに何一つ変わりがない時期は、ネフロンの崩壊が50%を超え、75%には至っていないという状況と考えることもできます。しかし、そのまま「多飲多尿」を見過ごすか、適切な対応をするかで、大きく寿命に影響を与える時期ともいえます。つまり、「多飲多尿」によって残存したネフロンを馬車馬のごとくこき使い続けるか、ここまで減ってしまったネフロンの負担を軽くしてあげるかどうかということなのです。
まず動物病院で検査を
 「多飲多尿」のSOSサインが出たら、まず動物病院で検査を受け、血液や尿の状態を調べてもらうことが大切です。「BUN」や「クレアチニン」の上昇はないか?オシッコは薄くないか?また、最近では腎臓の形や大きさ、内部構造に至るまで、エコー検査で正確に把握できるようになってきました。
 症状に気付くのが早ければ、オシッコは少し薄いかもしれませんが、まだ「BUN」や「クレアチニン」に変化はないはずです。その時期に動物病院を訪れることができたあなたは、優等生の飼い主さんであるといえます。さっそく食事療法の相談を獣医師としてください。