vol.8
ウサギの飼い方 Part2

前回のPart1でウサギがどんな動物か、お解かりいただけたことと思います。
今回は、ウサギにとって特に大切な食餌の管理と、
実際にウサギを飼育する際の注意点についてお話しましょう。

「ウサギにもノミがつく」というのは本当ですか?

 ウサギにもノミがつくことがあります。犬や猫との同居、庭先あるいは散歩に出したりすることがきっかけとなります。
 ノミを退治する際、犬猫用とあってもウサギでの安全性が確認されている薬剤を用いることができますが、中にはウサギには使用しないようにメーカーが注意を促している薬もありますので、獣医師とよく相談してください。
ウサギにとっての医食同源
 医食同源と言う言葉は人の健康管理で耳慣れた言葉ですが、これは動物にとっても当てはまることです。
 動物には、本来それぞれの種類にふさわしい食物があります。ふさわしい食事を知らずに誤ったものを与え続けると、病気を引きおこしてしまうことがあります。
 家庭飼育されているウサギでは、人の食べ物やクッキーなど様々なものを、催促されるがまま与えてしまうことがあります。ペットショップで陳列されているおやつなどの中にも、心配な物があります。
ウサギにふさわしい食餌とは?
 ウサギは草や野菜を主食とする草食獣です。元気で長生きにふさわしい食餌は、不足しがちな粗繊維分を満たしている食餌でもあります。望ましい食習慣をつけるために、成長期から新鮮な野菜や牧草、ラビットフードなどを主食として用いることが理想です。
 発育期や妊娠授乳期には、カルシウム分やタンパク質の豊富なアルファルファを素材としたラビットフードが望ましいとされます。
 充分成長したウサギには、アルファルファよりもカロリーやミネラルのコントロールしやすいチモシーなどを主体としたラビットフードや牧草、野菜での栄養管理が適します。入手当初の幼兎の頃から、これらの食餌の味に慣らせておくことが肝要です。また、食餌は一年中安定して入手できる事も必要です。
 ウサギの栄養に関する研究が進んで、様々な種類のラビットフードが発売されるようになりました。結石などの疾患予防に配慮したものや、歯に負担をかけないように配慮されたものなどが、専門店などで入手できるようになっています。種類が多くて迷うところですが、年齢や体質、疾病に合わせてご利用になると良いでしょう。
与えてはいけない草は?
 濡れた青草、タマネギ、毒セリ、キンポウゲなどはよくありません。有毒な植物としては、エニシダ、ルビナス、セイタカアワダチソウ、キツネノカミソリ、スイセン、タケニグサ、クサノオウ、ヒヨドリジョウゴ、イヌホウズキ、ヨウシュチョウセンアサガオ、ワラビ、キョウチクトウ、ニチニチソウ、シャクナゲ、アセビ、アメリカヤマゴボウ、トウダイグサ、アサガオ、ディフェンバキア、クワズイモなどが挙げられます。
 名前だけ聞いても実物と一致しないと困ってしまいますので、図鑑などを見て確かめておくと良いでしょう。「アニファブックス別冊『ウサギ』(株)スタジオエス出版」などが写真もきれいでお薦めの一冊です。
食餌管理の大切さについて
 主食としてご利用になるラビットフードや牧草、干草の在庫は少々余裕を持つようにしましょう。与える量は、朝よりも夕方の餌を多めにしましょう。また、夜中を過ぎてのドライフード類の置き餌は控え、干草などを置いておく方が良いようです。
 ウサギを飼育しておられる方から、「牧草が必要なのはわかるけど、好んでは食べない」と言うお声が良く聞かれます。食事の変更は、方法も大切で、一度にすべてを変更すると無理が生じますので、まず間食を控え、クッキー類やドライフルーツ、乾燥野菜などを少なくし、ドライフードも控えめてみましょう。
 牧草は常に置いておくようにしてください。そして、根気よく2〜4週間くらいかけておつきあいしてあげてください。
 パンやクッキーを与えると喜んで食べるウサギは少なくありませんが、「ウサギ用クッキー」やエン麦などの高カロリー食を与えていると、歯の疾患や肥満、泌尿器の結石性疾患の誘因になる事があるようですから、なるべく控え目にしましょう。
ウサギの歯は何本?病気になるの?
 漫画で描かれているウサギの歯は2本ですが、よく見れば4本に見えます。でも実は切歯(前歯のこと)だけで6本もあるのです。正面から見ると一見4本に見えますが、上顎の切歯のすぐ後ろ側に、小さく細い歯が左右一対にあります。そして前歯だけでなく、見ることはほとんどありませんが奥歯も持っています。つまり私たちが飼育しているウサギは、およそ28本の歯を持っているのです。
 また、草を主食とする動物の特徴でもありますが、ウサギではすべての歯が生涯伸び続けます。ウサギは鋭い前歯で草や樹皮、根などを噛み切り、奥歯で十分に咀嚼して胃に送り込みます。堅い草でも長時間かけて咀嚼するにふさわしいように、すり減っても必要なだけ徐々に伸びてくる歯を持っています。
歯の病気によるウサギの食欲不振
 ウサギに口の中で溶けやすいクッキーなどの柔らかい食べ物を多く与えることは、歯の磨耗のバランスが崩れるきっかけになるほか、糖分の含まれている製品では、歯の健康を損なう不必要な糖の過剰摂取ともなります。中には、先天的(生まれつき)に顎のかみ合わせのずれや変形を持っていたり、様々な理由で骨折や歯折などをきっかけとしてかみ合わせを悪くしたりすることもあります。
 ウサギの歯の咬合(かみ合わせ)が悪くなると、歯が不必要に伸びすぎることがあります。下顎の切歯は鼻の下から前に飛び出して、いわゆる「ウサギの歯の伸びすぎ」と言われる病状を示して来院されます。
 上顎の切歯については、内側に向かって丸く回転して口の中で歯茎などに刺さることもあります。こうなると、ウサギは食餌を取ることが出来なくなり、一見食欲不振と間違えられることもあります。また、奥歯のかみ合わせが悪くなると、変形した歯が頬や下を傷つけて口内炎を引き起こして、痛みから食事がとれなくなる理由になることもあります。
 不適切なかみ合わせが慢性化すると、歯根部の炎症や膿瘍の形成などを生じ、咀嚼時に痛みを引き起こすこともあります。
 程度にもよりますが、変形してしまった歯を治療するのは容易なことではありません。変形してからでは、必ずしも食事だけで歯が治る訳ではありませんので、幼い頃から健全な食生活に留意してあげましょう。
 このほか、ウサギの食欲不振にはたくさんの理由がありますので、様子がおかしいときは早めに獣医師に相談してください。